対人関係のしんどさ


わたしたちは、本来、幸せであることが自然な状態。

筋力を刺激して疲れが生じるのもまた自然ではあるけれど、それは肉体的/物質的な疲れであり、精神的にしんどいか?と問われると、また別の話。


近年、随分と自由にはなってきているけれど、まだまだ根強い精神。

「我慢は美徳」

この精神は、一体どこからきてるのだろう。


きっと諸説ある。個人的に感じるのは、しんどさこそ美しさ、といった独特な概念は、不自由が当たり前の世界だった時代特有のものだ。

自国のために死んでいく兵士を讃えるためにも、そして、耐え忍び、戦争を乗り越えるためにも、あの時代の「今」を肯定するために生み出した、当時にとっての最善の考えかたなのかな。

わたしは戦争を体験していない。平和な日本で生まれ育ち、そして今も生きている。

だからこそ、あの時代特有の「今」を肯定するため、心を落ち着かせるため、そのために必要だった、耐え忍ぶことに美しさを見出す考えかたを否定するつもりは一切ない。

なぜなら、あの時代にはあの時代の「今」があり、あの時代に沿った肯定的な考えかたがあったおかげで、今のわたしたちがいるのだから。


そう考えると、わたしたちもまた過去の精神のままに生きるのではなく、この時代の「今」を見つめ、常に変化変容していいはずだ。

すでに世界は自由であるということを受け入れ、もう、しんどい、に耐えなくてもいい。

過去のように、我慢や忍耐に美しさを見出す必要はないほどに豊かなのだから。

素直に、ただただ素直に、美しいと思えるものに美しさを感じられる時代が、今ここにある。

古いものを手放す。変化変容の過程をもって成長していくことは、過去への侮辱には当たらない。むしろ、感謝という大きなリスペクトからきている。



精神的なしんどさ、それも、対人関係のしんどさについて、言葉にしてみたい。

過去に自分自身で体感し、それを俯瞰視したものもあれば、友人や知人を少し遠くから見て、それらを客観視したものもある。


対人関係においてしんどさを感じる理由の一つは、自分が与えるべき以上のものを与えているから、があると思う。

与えている 'それ'は、物やお金といった目に見えるものかもしれないし、歩み寄りや気遣い、時間、体力など、目に見えないものかもしれない。人それぞれかな。

他人を通して自分自身がしんどいと感じている場合、本来、余力として残しておくはずの自分自身へのエネルギーまで与えてしまっていて枯渇している状態。自然な状態ではない。

無理がたたり、圧倒的に不自然な状態だからこそ、しんどさ、疲れ、などの精神的な負担となり、込み上げてきている。


一度、立ち止まり、しんどい、と感じる人間関係を思い浮かべてみる。


もし、時間を守ってくれない相手にしんどさを感じているのであれば、あなた自身が大切にもっていなければいけない「あなたの時間」の分まで過分に与えすぎてはいないだろうか。

あなたは本当にその相手に会いたいと思っているのだろうか。

本当は会いたくないのに、無理をして、「あなたの時間」を相手に費やしてはいないだろうか。

本当はゆったりしていたいけれど、そこまで好きではない相手だからこそ、予定の前後の時間、常に緊張状態がとれず、「あなたの時間」が奪われた感覚になっているのではないだろうか。


他にも、いろいろあるよね。


もし、気を遣ってくれない相手にしんどさを感じているのであれば、あなた自身が大切にもっていなければいけない「あなたへの気遣い」の分まで過分に与えすぎてはいないだろうか。

相手に気を遣いすぎて、自分自身に気を遣えていないのではないだろうか。

あなたの'悲しい'、あなたの'辛い'、あなたの'恐い'、あなたの'嫌だ'、この感情に寄り添ってあげれていないのではないだろうか。


もし、愛してくれない相手にしんどさを感じているのであれば、あなた自身が大切にもっていなければいけない「あなたへの愛」の分まで過分に与えすぎてはいないだろうか。

最初から最後まで、片時も離れず、あなたを一番に愛してくれているのは、神様でもなく、親でもなく、恋人でもない、あなた自身だ。自分自身とは、生涯付き合っていく唯一の存在。

思考、選択、行動、このすべてをあなたの思うがままにはたらかせてくれているのは誰だろうか。

一番に感謝すべき相手、一番に愛を向ける相手、を見失っているのではないだろうか。



しんどい、を無視しないで。

しんどい、に蓋をしないで。

しんどい、を繰り返さないで。

しんどい、から逃げないで。

しんどい、を誤魔化さないで。


与えることは素晴らしい愛の一部だけれど、薬と同様、必要以上に与えてしまえば相手にとって毒にもなるし、必要としている人に届かず、苦しみが生まれるもの。


今、与えるバランスを学んでいるあなたは、とっても優しい人。

わたしは、あなたみたいな人にほど、もっともっと幸せを感じてほしいと心から思います。