洞窟
ああ、わたしこれが好きだったな。と、自分の好きを思い出せるようになってきた。
映画とか音楽とか読書とか、今まで楽しかったもの・喜びを感じていたものに対して、なぁんにも感じなくなっちゃって。そうそう、六年くらい、わたしどうしちゃったんだろうなぁ、って思ってた。
なにを食べても味がしない、なにを聴いても心地よくない、なにを読んでも感動しない、どの国・街へ行っても揺さぶられない、誰と話しても楽しくない(親友と話すときは、本当に楽しかった)。
洞窟にいた感覚。洞窟のなかは鏡のような鉱石しかなく、奥まで掘っても掘っても、石に反射して映る自分しかいなかった。他人にも娯楽にも逃げられず、ただひたすらに自分を見ていた。
でも、この数年感があってよかった。
わたしじゃないものを、洞窟においてきた。
わたしじゃないものから得たものも一緒に。
洞窟から抜けて、好きを楽しもう。
好きな音楽を聴いて、好きな本を読んで、好きな英語を見て、好きな旅をして、好きな人と過ごそう。
やっと、世界を自分を楽しめそうだ。
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