MIHARU OSINO
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誘う- マゼンタピンクの海を泳いで

2023.11.02 15:00

あの子

 彼女はよく、主張のない笑いかたをする。 笑いかた、だけではない。怒りかた、泣きかた、喜びかた。不思議と、感情に彼女自身を感じないのだ。感情そのものが生きていて、彼女が媒体となり、ただ自らの肉体や表情を貸しているだけ。いつだって自らは空っぽなのに、いつだって溢れている。表現の抑揚や強弱の乏しさ、とも違う。鮮度の極まった感情たちが、規則正しく在るべきときに在る。彼女の不在こそが、主張のなさ、つまり、...

2023.06.30 15:00

酒場にて

「馬鹿で、痛くて、恥ずかしい人でありたいわ」「そうすれば、それらに恐れる煩わしさはないじゃない」 「本能なんて大抵、馬鹿で、痛くて、恥ずかしいものだもの」 彼女の吐く水たばこの煙に、わたしは目を閉じた。

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